臓器移植患者団体連絡会の活動と成果
臓器移植患者団体連絡会の今までの活動と成果

臓器移植法制定と改正への活動

1994年に京都で国際移植学会が開かれ、それを機に臓器移植に関連する患者団体の交流が始まり、その年の11月、新たに臓器移植関連患者6団体(当協議会、全国腎臓病協議会、全国心臓病の子どもを守る会、日本肝臓病患者団体協議会、胆道閉鎖症の子どもを守る会、ニューハートクラブ)が協力し国会議員との懇談会を開催し「臓器移植の必要性と法案の早期成立」を要望しました。その後は拡大して9団体となり、臓器移植推進連絡会を経て2003年4月に患者団体のみで改組し現在臓器移植患者団体連絡会となり、活動を続けています。この会は、臓器移植法の制定を主な目的として設立されたため、1997年の旧臓器移植法成立後は臓器移植推進連絡会と名称を変え、臓器移植普及啓発にも協力していくこととになりました。そしてまず子どもたちの移植を実現するために限った法改正への運動として「小さな子どもたちも、移植が受けられるように早急に法律の見直しを望む」国会請願を行い46万人の署名を衆参議長に提出しました。その後2000年を除き計四回行い、合計200万人の請願署名を提出しました。加えて毎年のように法改正を求める決起大会や銀座でのパレードと街頭活動、市民公開講座やシンポジウムなど様々な取り組みを行いました。またこの時から厚生労働省への要望を行うことになりました。

2003年4月に患者団体だけで臓器移植推進連絡会として再結成しました。「脳死を人の死とし、本人意思が不明の際、家族の承諾で臓器提供を認める」改正案を各団体ごとに議論しまし、その結果5団体が賛成し臓器移植患者団体連絡会として2004年8月自民党案を支持し、改正活動をすることになり、9月から、日本移植学会とも協力し、各国会議員一人ひとりと面談をし法改正の必要性を訴えることになりました。

2005年以後は、大阪、名古屋、札幌、千葉、東京において、全国市民リレーシンポジウムを開催し国会議員への陳情活動を続けていました。その結果2008年春には、衆議院議員の約6割、参議院も半数を超える議員が改正に賛成するまでになりました。秋なると日本移植学会が主催し、名古屋を皮切りに大阪、札幌、仙台、熊本、広島そして最終4月5日東京で市民公開講座を開催しました。4月14日に臓器移植患者団体連絡会主催で決起集会を国会に隣接する憲政記念会館で開催しました。これには500人を上回る参加者があり、国会議員に対し大きな圧力となりました。そして漸く国会は、審議へと動き6月9日には、患者団体として前代未聞の全面の意見広告を日本移植学会と協力し東京新聞に掲載し、その新聞を全国会議員に配布しました。6月18日に衆議院で採決が行なわれ賛成263票、反対167票で採択され参議院に廻されました。私たちは「脳死を人の死とする」案でなければ、改正する意味がないと、あくまでA案を無修整で成立させることに固守し、参議院でも毎日、参議院議員会館に詰め、陳情活動を続けました。7月13日共産党を除く各党は「議員個人の死生観にかかわる問題」として、党議拘束を外して投票しました。先にA’案は反対多数で否決され、A案は、投票総数220票のうち、賛成138票、反対82票で可決成立した。殆どの法律が政党間の話し合いで決定するわが国おいて、5年に及ぶ議員一人ひとりへのロビー活動は、前代未聞のことであり、恐らくわが国の憲政史上に残ることでしょう。

厚生労働省へ要望と折衝

1997年臓器移植法が10月16日に施行されたのを期に毎年4月16日と10月16日の前後に厚生労働大臣宛に要望書を提出し各部署と折衝することにしました。

  • 当初は、臓器移植法の改正と移植システムに関する要望が主でしたが、徐々に薬剤の保険適用や移植者に関する要望を行うようになりました。一つひとつは長い年月がかかりましたが、多くの成果を上げることが出来ました。
  • 薬剤等の保険適用:B型肝炎治療薬として使用されているヘブスブリンやノバコア左室補助人工心臓システム(埋め込み型)などの保険適用の実現や今でも薬剤の承認に時間を要していますが、臓器移植に関する薬剤の認可や保険適用についての迅速化を要望し、少し改善されました。
  • 移植医療の健康保険適用:成人の生体肝臓移植から始まり、まだ症例が少ない時点で心臓移植などの脳死下臓器移植に保険が適用された。現在では、生体の膵移植と脳死下での小腸移植を除く臓器移植に健康保険が適用されるようになりました。
  • 臓器移植者を内部障害者として認定:腎臓、心臓、肺移植者は内部障害者として認められていましたが腎臓に次いで数の多い肝臓移植者には認められていませんでした。我々は10年以上にわたり交渉した結果、漸く2010年4月から肝臓移植者も内部障害者1級として認められました。
  • 健康保険証に臓器提供意思表示欄を設ける:厚労省管轄である政府管掌保険(現協会健保)に意思表示欄を設けるよう毎年要望し、まず意思表示欄を設けることを許可する通達が出され、その後強く要望し続けた結果2007年からカード化に伴い政府管掌保険に意思表示欄が設けられるようになりました。
  • 臓器提供意思表示の登録制:長年の要求の結果、2006年4月から法改正前に日本臓器移植ネットワークがインターネットでの意思登録を開始し、7月からの改正法施行後は注目を集め登録数が大きく増加しています。

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