特定非営利活動法人日本移植者協議会

改正臓器移植法の概要

7月17日に、新たに臓器移植法が12年ぶりに改正され施行されました」。今回の改正は、一部の文言の改正ではなく、臓器移植法の根幹に関わる改正でした。

  • 脳死を人の死とすることが法律として規定されました。但し本人の拒否の意思がなく、家族が臓器提供と法的脳死判定を承諾し、そのあと法的脳死判定した時のみ死亡宣告することが出来きます。即ち一律に「脳死は人の死」と適用される訳ではありません。脳死を人の死と認めない人には、家族の希望により治療を継続することが出来ます。またその費用は、従来の健康保険でまかなわれます。
  • 今回の改正でもう一つ大きなことは、本人の書面による意思表示の確認の必要なくなりました。本人が拒否の意思表示をしていない場合、家族の承諾により臓器提供が出来ることになりました。これにより15歳未満の子どもからの脳死下臓器提供が出来ることになりました。これでほぼ世界のルールと同等になりました。
  • 臓器移植の普及啓発は、国及び地方自治体の義務となりました。未だに内閣府の世論調査によりますと国民の80%が臓器移植の情報が不足していると回答しています。国及び地方自治体は、臓器移植、臓器提供の正しい知識の普及にもっと努力する必要があります。
  • 被虐待児(18歳未満)からの臓器提供の禁止。本来虐待と臓器提供は全く別のことですが、昨年の国会での議論を経て、被虐待児からの臓器提供を防ぐ手立てを提供施設が整備しなければならないことになりました。
  • 健康保険証及びカード、運転免許証の裏面に臓器提供意思表示欄を設ける。これにより3〜5年間に0歳から100数歳まで、ほぼ全ての国民が臓器提供意思表示カードを持つことになりました。現在の記入率は5%に満たない状態です。「提供する権利」「提供しない権利」は等しく尊重されなければなりません。どちらにしてもその意思を表示して戴くことがとても重要です。
  • 家族への優先提供 今回の改正で家族への優先提供が認められ、1月17日から施行されましたが、今年の5月22日に50代の男性から50代の妻に角膜が移植され、初めてのケースとなりました。
  • 親族優先の意思表示は、出来るだけネットワークのインターネットによる登録を薦めることになりました。勿論意思表示カードに記入されたものも可です。但し、これは書面による意思表示とされ15歳未満の親族優先の意思表示は認められません。
  • 親族の範囲は、1親等と配偶者に限ります。配偶者は、事実婚は認めず、婚姻届をしているものに限ります。また養子は、特別養子縁組のみ有効とすることになりました。こららは臓器売買の入り込む余地を出来るだけ少なくするためです。
  • 「親族優先提供が自殺を誘発する」のでは、との議論があり、提供を目的として自殺をしたものからの親族への優先提供は行わないことになりました。またカード等への記載については、「親族」を基本としますが、個人名も可となりました。なお複数の候補者がいる場合は、親族全体への優先提供とみなし医学的に決定することになりました。

 今後も変らぬ意思表示の重要性/意思表示カードの全国民所持

  • 改正法では、家族の承諾で提供できるため、本人の拒否の意思表示の確認が非常に重要となります。改正法では、健康保険証と運転免許証に臓器提供意思表示欄を設けることになりました。これは諸外国にも例がなく、大しなる実験でもあります。家族の承諾で脳死下での臓器提供が可能なりましたが、意思表示はとても重要です。そのためにもご家族の間でそれぞれの臓器移植、臓器提供について話をする機会を是非持ってください。そしてその意思を家族に伝え、カードもしくは、インターネットによって意思表示しておいてください。もしもの時、家族は迷わずあなたの意思に添って決めることが出来ます。


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